変異し続ける新型コロナウイルス

監修:国際医療福祉大学医学部感染症学講座 代表教授
国際医療福祉大学成田病院感染制御部 部長 松本哲哉先生

 

今この瞬間も、新型コロナウイルスは「変異」しています1,2)

今この瞬間も、

新型コロナウイルスは

「変異」しています1,2)

一般に、ウイルスは増殖や感染を繰り返す中で少しずつ「変異」しています。「変異」とは、ウイルスが増殖する際に一定の頻度で起こる遺伝子情報のコピーミスのことで、変異により新たな性質を持ったウイルスを「変異株」といいます。新型コロナウイルス感染症は5類感染症に移行しましたが、ウイルスはそれとは関係なく変異を続けています。今後、感染力がさらに高まり、重症化しやすい変異株が出現する可能性は否定できませんので、新たな変異株が脅威にならないとは言い切れません。

新型コロナウイルスの変異(イメージ)1,2)

新型コロナウイルスの変異(イメージ)1,2)

新型コロナウイルスの変異(イメージ)新型コロナウイルスの変異(イメージ)

新型コロナウイルスの変異株と最近の動向

中国武漢市で最初の新型コロナウイルスが発見されてから、これまで様々な変異株が確認されてきました3)日本では、初めに中国武漢市で発見された従来株が広がり、続いてアルファ株、そしてデルタ株が流行しました3)。デルタ株は中高年層にも肺炎や血栓症を起こし、重症患者の急増による医療体制のひっ迫が課題となりました。 2022年初頭以降はオミクロン株が主流となっていますが、その大きな特徴は感染力の強さであるとされています4)。現在もオミクロン株の流行が続いています(2025年4月時点)5)

新型コロナウイルスの変異株の移り変わり

新型コロナウイルスの変異株と最近の動向新型コロナウイルスの変異株と最近の動向

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第10.1版:6, 2024、Kaku, Y. et al.:Lancet Infect Dis 24(2):e82, 2024、
CDC:COVID Data Tracker https://covid.cdc.gov/covid-data-tracker/#variant-proportions 2025/4/25参照、
厚生労働省:第47回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 2023(令和5)年6月16日 参考資料1 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33648.html 2025/4/25参照 より作図

 

一度感染したことがある方や

ワクチンを接種した方も

再感染する可能性があります

最近主流となっている変異株はオミクロン株の一種で、免疫から逃れる性質が強くなっていると考えられています6)。一度感染したことがある方や、ワクチンを接種した方も再感染する可能性があるため7)、特に重症化リスクが高い方は引き続き警戒が必要です。

新型コロナウイルス感染症は、重症化リスクの有無によって適切な対処法が異なります。

まずはご自身やご家族の重症化リスクを確認しましょう。

重症化リスクがなく軽症で済んでも、後遺症が残る可能性があります。

自分自身や家族や友人などの大切な人を守るためにも、

若い世代の方々も積極的にワクチン接種を検討しましょう。

また、感染した場合でも現在では治療の選択肢が増えてきています。あなたにあった治療法を主治医の先生とご相談ください。

注意が必要なのはどんな人?

注意が必要なのはどんな人?

注意が必要なのはどんな人?

今すぐ確認してみましょう

以下の表に当てはまる項目がひとつでもある方は、ない方と比べて新型コロナウイルス感染症の重症化の危険性が高いことがわかっています。

年齢

  • 65歳以上

体型

  • 肥満がある(BMIが30以上)

生活習慣

  • タバコを吸う(現在および過去)
  • 運動不足

基礎疾患(持病)

以下のような持病や既往歴がある

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • がん
  • 慢性の肺の病気(COPDなど)
  • 慢性の腎臓の病気
  • 心臓の血管の病気(心筋こうそく、狭心症など)
  • 脳の血管の病気(脳こうそく、脳出血など)
  • HIV感染症
  • 臓器移植による免疫不全
    など

  • ステロイド等の免疫を抑える薬を使っている

妊娠

  • 妊婦(妊娠後半期)

上記に加えて、男性は女性に比べて重症化や死亡のリスクが高いことが報告されています。

BMI:体格指数 [計算]BMI=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

COPD:慢性閉塞性肺疾患、HIV:ヒト免疫不全ウイルス

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第10.1版:9, 2024 より作表

あてはまる項目がある方は、

新型コロナウイルス感染症の感染に備え、取るべき行動について

かかりつけ医に相談してみてはいかがでしょうか。

あてはまる項目がある方は、

新型コロナウイルス感染症の

感染に備え、取るべき行動について

かかりつけ医に相談してみては

いかがでしょうか。

2024年度の新型コロナワクチンの
定期接種は終了いたしました。
2025年度につきましては、
厚生労働省もしくは
自治体の発表をお待ちください。

2024年度の新型コロナ
ワクチンの定期接種は
終了いたしました。
2025年度につきましては、
厚生労働省もしくは自治体
の発表をお待ちください。

【終了】2024年度の定期接種に関する情報

定期接種の実施時期

令和6(2024)年10月1日~令和7(2025)年3月31日
(自治体ごとに上記の期間内で実施されました)

対象となる人

  • 65歳以上の方
  • 60~64歳で対象となる方

※心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方

・定期接種の対象者以外の方や、定期接種のタイミング以外で接種する場合については、 任意接種としてワクチンの接種を受けることができます。

出典

  • 1)

    神谷 茂 監修:標準微生物学 第14版, 医学書院, p355~367

  • 2)

  • 3)

    厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き 第10.1版

  • 4)

    Wang, Q. et al.:Cell 186(2):279, 2023

  • 5)

  • 6)

  • 7)

2025年6月作成 CVD46P005A