高齢者や基礎疾患のある方は、重症化しやすいことが知られています。

監修:国際医療福祉⼤学医学部 感染症学 主任教授 国際医療福祉⼤学成⽥病院 感染制御部部⻑ 松本哲哉 先⽣

高齢は最も重要な 重症化リスク因子です1)

高齢者の方は、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高いことが分かっています1)。また、新型コロナウイルス感染症により死亡した方の多くは、60歳以上の高齢者で2)

年代別累計死亡者数

年代別累計死亡者数年代別累計死亡者数
※データは令和5年5月9日時点のものです。
厚生労働省:データからわかる新型コロナウイルス感染症情報(https://covid19.mhlw.go.jp/) (5月31日閲覧)より作成

30歳代と比較して70歳代では47倍、80歳代では71倍と、年齢が上がるほど重症化率が高くなることが分かっていま3)

30代と比較した重症化リスク

30代と比較した重症化リスク30代と比較した重症化リスク重症化しやすい基礎疾患・生活習慣重症化しやすい基礎疾患・生活習慣

※「重症化率」は、新型コロナウイルス感染症と診断された症例(無症状を含む)のうち、集中治療室での治療や人工呼吸器等による治療を行った症例または死亡した症例の割合。

入院が長引けば

新型コロナウイルス感染症でも

寝たきりになることがあります。

高齢者では、新型コロナウイルス感染症の症状以外に、心不全や誤嚥性肺炎などを合併して重症化するケースや、消化器症状により十分な食事を摂れなくなり、脱水症状や栄養障害を起こすこともあります1)。また、一般に入院が長引くと、身体機能や認知機能が低下し、その後寝たきりになってしまう可能性がありますが、こうしたリスクは新型コロナウイルス感染症でも同様で1,4)

新型コロナウイルスへの感染がきっかけで寝たきりになるケースも新型コロナウイルスへの感染がきっかけで寝たきりになるケースも

基礎疾患のある方は 引き続き警戒が必要です

基礎疾患のある方は、ない方に比べて重症化リスクが高いことが分かっています1,5)。さらに、これらの重症化リスク因子は、保有する数が増えるほど死亡率が高かったことも報告されています5)。また、新型コロナウイルス感染症が重症化しやすいだけでなく、基礎疾患自体が悪化することもあります6,7)。特にオミクロン株流行以降は、新型コロナウイルス感染症そのものの症状ではなく、基礎疾患の悪化により亡くなるケースが増加していま6,7)

重症化リスク因子別の死亡率

重症化リスク因子別の死亡率重症化リスク因子別の死亡率
対象・方法
新型コロナウイルス感染症発生届ベースのHER-SYSデータ(2021年4月1日~2021年6月30日)を用いて、

重症化リスク因子別(解析対象:322,007例)の死亡率を調査した。

厚生労働省. 第49回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年8月31日)資料4-3.

新型コロナウイルス感染症は、重症化リスクの有無によって適切な対処法が異なります。

まずはご自身やご家族の重症化リスクを確認しましょう。

重症化リスクがなく軽症で済んでも、後遺症が残る可能性があります。

自分自身や家族や友人などの大切な人を守るためにも、

若い世代の方々も積極的にワクチン接種を検討しましょう。

また、感染した場合でも現在では治療の選択肢が増えてきています。あなたにあった治療法を主治医の先生とご相談ください。

注意が必要なのはどんな人?

注意が必要なのはどんな人?

注意が必要なのはどんな人?

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以下の表に当てはまる項目がひとつでもある方は、ない方と比べて新型コロナウイルス感染症の重症化の危険性が高いことがわかっています。

年齢
  • 65歳以上

体型
  • 肥満がある(BMIが30以上)

生活習慣
  • タバコを吸う(現在および過去)

  • 運動不足

基礎疾患(持病)

以下のような持病や既往歴がある

  • 高血圧

  • 糖尿病

  • がん

  • 慢性の肺の病気(COPDなど)

  • 慢性の腎臓の病気

  • 心臓の血管の病気(心筋こうそく、狭心症など)

  • 脳の血管の病気(脳こうそく、脳出血など)

  • HIV感染症

  • 臓器移植による免疫不全

  • ステロイド等の免疫を抑える薬を使っている

妊娠
  • 妊婦(妊娠後半期)

BMI:体格指数 [計算]BMI=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

COPD:慢性閉塞性肺疾患、HIV:ヒト免疫不全ウイルス

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き 第10.0版より作成

あてはまる項目がある方は、

新型コロナウイルス感染症の感染に備え、取るべき行動について

かかりつけ医に相談してみてはいかがでしょうか。

あてはまる項目がある方は、

新型コロナウイルス感染症の

感染に備え、取るべき行動について

かかりつけ医に相談してみては

いかがでしょうか。

出典

  • 1)

    厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き 第10.0版

  • 2)
  • 3)
  • 4)
  • 5)
  • 6)
  • 7)
2023年11月作成 CVD46N001B